読書記録⑨:ケーキの切れない非行少年たち(★★★☆☆)

読書

感想

主張が明確でよい。

非行少年が犯罪を繰り返してしまうのは、反省していないのではなく、知能指数が低いため土台何がいけないかすら認知できないから。
改善のためには、現在の学校教育ではカバーできていない認知機能向上のトレーニングを行う必要がある。

主張は社会的にとても意義があるものだと思うし、私も「なるほど、そうだったのか!」と思ったが、如何せんその後の展開が冗長。

本の前半1/3程度で真新しい主張は終わり、後は具体例を交えて同じ内容を繰り返す、といった構成で、途中飽きてしまった。

最後に認知機能を向上させるためのトレーニングについて、具体的な話が出てくるのだが、これが自分の商材の紹介となっている。
意地の悪い見方をすると、「認知機能をあげないと非行少年は何回でも再犯する」と脅して、困っている親御さんに商材を買わせようとしているのではないかと思ってしまった。

そう考えると、タイトル「ケーキの切れない非行少年たち」も章の中から一番センセーショナルなタイトルつけとけ!という感じで選ばれたんじゃね、と邪推してしまう。

主張が認知機能の向上であることを考えると、そこを含めたタイトルのほうが本書には相応しいのでは。主張は素晴らしいのに構成がイケてなくてもったいないな、と思った本。

ちなみに更生施設では女子のことも少年と呼ぶそうな。
確かに冷静に考えてみると、「少年少女」っておかしい、何故「少男少女」じゃないんだろう…

評価:★★★☆☆

こんな人におすすめ

・難しい内容でもないし、万人向け

良かった点

・「学校教育を改善するべき」という主張は納得感がある
・主張が明確

悪かった点

・後半は同じ内容を繰り返しているだけで冗長
・最後は商材への案内があり読後感がよろしくない
・ちょいちょいソースが怪しい

書籍情報

著者名:宮口 幸治
出版社:新潮社
出版日:2019/7/13
ジャンル:教養
ページ数:192ページ

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