読書記録⑦:禍いの科学 正義が愚行に変わるとき(★★★★★)

読書

感想

素晴らしいと思われた科学的発明が、実は人類に禍いをもたらした例をストーリー仕立てに説明した本。
科学の教養本として本当に面白かったし、勉強になった。

世間の風潮に流されるのではなくデータをちゃんと見ろ、という教えはさながら「科学版ファクトフルネス」といった感じ。
洋書あるあるの難解な翻訳が少なく、ストーリー仕立てになっているということで、かなり読みやすかった。

また、章の最後に話から得られる教訓をまとめてくれるのがよい、主張がハッキリわかる。
特に「著名人が謳っているからといって安直に信じるな、データを見ろ」という主張はひしひしと伝わってきた。デマが流行しやすい現代社会では本当に大切な考え方だと思う。

昔学校で習った薄い知識の裏側を知れるというのもこの本の良いところの一つ。
例えば、高校化学で習った「ハーバーボッシュ法」の生みの親、フリッツ・ハーバーがその技術を使い弾薬を大量に作ったこと、レイチェル・カーソン著「沈黙の春」の影響で引き起こされたマラリアの悲劇(諸説あり)なんかは、まさに「学校では教えてくれない大切なこと」の連続。

例としてメインに扱われているのは、アヘン・マーガリン・化学肥料(アンモニア)・優生学・ロボトミー手術・DDT・ビタミンといった身近なものであったり、どこかで聞いたことのあるようなテーマばかり。
自身を持ってオススメできる本。

評価:★★★★★

こんな人におすすめ

・教養を身に付けたい方

良かった点

・人に語れるような教養が身につく
・ストーリー仕立てとなっており、内容に引き込まれる
・洋書あるあるの難解な翻訳がなく読みやすい

悪かった点

・特になし

書籍情報

著者名:ポール・A・オフィット
出版社:日経ナショナル ジオグラフィック社
出版日:2020/11/20
ジャンル:教養
ページ数:320ページ

禍いの科学 正義が愚行に変わるとき(amazonリンク)

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