こんにちは、ばいおです。
今回は、ビジネスパートナ(BP)の概要について説明します。
ビジネスパートナは、今後のSAP導入に携わるのであればとても大切な要素になります。
この記事を読むことで、ビジネスパートナについての理解が少しでも深まれば幸いです。
また、ビジネスパートナについての記事は↓にまとめていますので、あわせてご参照ください!
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各モジュールでよく使用するトランザクションなどが記載されており、重宝します。
ビジネスパートナとは
ビジネスパートナとは、一言でいうと、取引先を管理するマスタです。
SAPの歴史の話になりますが、かつてSAPでは、取引先を得意先マスタと仕入先マスタというマスタに分けて管理をしていました。
それがS/4 HANAと呼ばれる新しいバージョンになってからは、得意先マスタと仕入先マスタが統合され、新たにビジネスパートナとして取引先を管理できるようになりました。
ビジネスパートナの構造
続いて、ビジネスパートナがどのような構成で作成されているかについて説明します。
ビジネスパートナは、ビジネスパートナカテゴリとグルーピングを登録し、そこに任意のビジネスパートナロールを割り当てることで作成されます。
唐突にたくさんの横文字が出てきて分かりづらいかと思いますので、構成を例示します。
実際の画面だと以下のようになります。
ビジネスパートナカテゴリ
ビジネスパートナカテゴリは、「個人」「組織」「グループ」の3つに分けられるカテゴリのことです。
ビジネスパートナを登録する際には、必ずいずれかのビジネスパートナカテゴリを選択する必要があります。
個人/組織/グループという分類は標準の仕様で決定されており、他のビジネスパートナカテゴリを追加することはできません。
また、一度カテゴリを決定してビジネスパートナを登録すると、後になってカテゴリの変更をすることはできないので、注意が必要です。
ビジネスパートナに登録する取引先が会社単位の場合、ビジネスパートナカテゴリは「組織」を選択するのが一般的です。
グルーピング
グルーピングは、ビジネスパートナの番号範囲を決める項目です。
ビジネスパートナカテゴリと同じく、ビジネスパートナを登録する際には、必ずいずれかのグルーピングを選択する必要があります。
グルーピングはカスタマイズによって任意のコード値を設定できます。
例えば、以下のような使い方をします。
グルーピング | グルーピング名称 | ビジネスパートナの開始番号 | ビジネスパートナの終了番号 |
---|---|---|---|
Z001 | 営業部取引先 | 1000000000 | 1999999999 |
Z002 | 資材部取引先 | 2000000000 | 2999999999 |
このように、ビジネスパートナの番号範囲は、グルーピングによって制御されています。
ビジネスパートナロール
ビジネスパートナロールは、得意先や仕入先といった取引先の種類を定義する項目です。
ビジネスパートナに任意のビジネスパートナロールを割り当てることで、ビジネスパートナの用途を指定することができます。
ビジネスパートナを登録する際には、「一般」というビジネスパートナロールが標準仕様で自動的に設定され、その上に「得意先」や「仕入先」といったロールを追加することができます。
1つのビジネスパートナに複数のロールを割り当てることができるので、得意先としても仕入先としても使用している取引先があれば、対応するビジネスパートナに仕入先ロールと得意先ロールを割り当てて使います。
また、ロールの種類によって、ビジネスパートナに登録する項目を制御することができます。
例えば、仕入先ロールには、仕入先への支払元銀行を設定する、得意先ロールには、得意先が自社に振込する口座番号を設定する、といった使い方ができます。
(尚、一般ロールでは、ビジネスパートナの名称や住所、電話番号といった取引先の基本となる情報を登録します。)
ビジネスパートナ関連の主なトランザクションコード・テーブル
最後に、ビジネスパートナ関連のトランザクションコードについて、説明します。
トランザクションコード:BP
これ以上にわかりやすいトランザクションコードを私は知りません。
ビジネスパートナは「BPに始まりBPに終わる」と言っても過言ではないでしょう、そのくらいよく使うトランザクションコードです。名は体を表すとはこのことですね。
ビジネスパートナの登録・照会・変更まで、このトランザクション1つで可能です。
ちなみに、ビジネスパートナの削除は「BUPA_DEL」というトランザクションコードから可能ですが、実行するとデータの不整合が発生するらしく、実行はSAPのサポート対象外とのこと。
なので、実行は自己責任でお願いします。
使わなくなったビジネスパートナは、「共通ブロック」という項目にチェックを入れることで、伝票転記で使用されるのを防げるので、そちらで制御するのが妥当かと思います。
もちろん、「共通ブロック」のチェックはトランザクションコード「BP」から実施できます。
テーブル:BUT000
ビジネスパートナの名称や登録日、登録者などを保持しているテーブルです。
前述した共通ブロックのフラグもこちらのテーブルで管理されています。
テーブル:BUT100
ビジネスパートナのビジネスパートナロールを保持しているテーブルです。
特定のロールをもつビジネスパートナ一覧を出力したい場合はこちらのテーブルから。
テーブル:BUT020
ビジネスパートナのアドレス番号を保持しているテーブルです。
実際の住所情報を保持しているのは「ADRC」というテーブルであり、「BUT020」のアドレス番号と「ADRC」のアドレス番号を紐付けることで、ビジネスパートナに対応する住所を取得することができます。
1つのテーブルから直撃でビジネスパートナの住所情報を取得できないので、注意が必要です。
おわりに
今回は、ビジネスパートナの概要について記載しました。
この記事でのビジネスパートナロールの紹介は一般ロール・得意先ロール・仕入先ロールにとどまりましたが、SD・MMモジュールを導入するプロジェクトならば販売用・購買用のロール、TRMモジュールを導入するプロジェクトならば金融商品取引用のロールを設定するなど、1つのビジネスパートナをモジュール間で共通して使用できるのが、とても便利です。
前述したとおり、ビジネスパートナというワードは、SAPに携わる上で避けては通れません。
この記事が、ビジネスパートナについて理解を深める一助になれば幸いです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。